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日付:

2006/09/11

タイトル:
3P<トリオリズム>
著者:

叶恭子

出版社:

小学館

書評:
 

 本のタイトル・3Pは白い表紙に印象的なブルー。3Pと言えばもう、あれしかない。然るに、なんと清楚で奥ゆかしい装丁であろう。そう思いながらよく見ると、<トリオリズム>等と たいそうなルビがふられていた。この瀟洒な本は完全に別次元の様相を呈したことになる。こんなはぐらかしが日常茶飯の自称・愛の魔術師、肩書きはライフスタイルプロデューサー、なんとも絞まりのない名だ。ある種、混沌とした雅やかさ を感じさせはすれ、この手の芸風が鼻持ちならないのは、恥の上塗りに過ぎないくせに、二重三重に居直るところにある。「わたくしの愛をおみせしましょう。」 恐れ入った帯文だが、半ば習慣化したスキャンダルを美化せんがために、持ち前の顕示欲を起爆剤としたのだろう。<make love,not war>ベトナムならぬ3P地獄から脱出!でも、どうやって?−背景には、アイドル写真集が馬鹿売れの出版事情があるにはあった。

 おフランスな3P、平和外交的なSMプレー。どうやら彼女が提唱するメイクラブは、化粧を崩す愛戯とは根本的に性質を異にするもの。その不自然なシミュレーションが、仮に再現出来たとしても、男子たる者、確実に萎える。妖しげなカタカナ語を、コピーの宝庫よろしく並べ立て、どうかご盗用遊ばせ、但し、高く付きましてよ、では、蕩尽のあげく美人局になった、とんでもない倒錯者の火遊びということになりはしまいか。それとも、シリコン崩しの蛮勇を宥め、気をそそる前代未聞の秘策を隠しているとでも?

 ラテン系・マッチョマンの女王様という嘘っぱち。シルバーナ・マンガーノやソフィア・ローレンのようなグラマラスな美女の本能的な気品がなければ、彼らを侍らせるのは土台無理。サイボーグとは言わないまでも、無国籍の人工美人に、創生の神秘に纏わる火や土の匂いはない。前著「蜜の味」でミーハーを引き寄せ、本書ではそこそこの知識層に媚を売る、そんな目算なら兎も角、お茶の間では既に些か食傷気味の叶姉妹である。フライト毎に、ぐらりと機体が揺れたのでは、危なくて、「行ってらっしゃい」の声も出ない。


 

 

 


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