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日付:

2006/03/17

タイトル:
アインシュタイン150の言葉
著者:

ジェリー・メイヤー&ジョン・P・ホームズ 編 

出版社:

ディスカヴァー・トゥエンティワン

書評:

 「Bite-Site Einstein」の抄訳、簡明直裁な寸言はどれ一つとして偶然の所産はないのだ。1+1=2であれば3+2=5となるように、部分と全体の緊密な仕組みから生まれた。かの分厚いナポレオン法典も、これら珠玉の言葉集には遥かに及ばないだろう。本書は科学者である前にモラリストであった博士の人間性を余すところなく伝えている。

 神の手になる自然の原理を大過なく生きるのは人類全体の当然の責務としながら、複雑で鹿爪らしい道徳や、ユーモアのセンスを欠いた道義家には懐疑的だ。また、博士にとって、<純粋さ>は温室培養の植物でも実験用の蒸留水でもないらしい。もし、そんな風に人生から切り離された数学なら無意味と言うことになる。しかし、人の深層意識にメスを入れる精神分析は敬してこれを遠ざけている。

 <わたしは、かしましい美徳よりは、静かな悪徳を好む。>−当時、盛名を馳せたカウンセラーへの回答であろうか。<純粋な生も豚の眼には汚れたものと写る>と言う手厳しい言葉さえある。自己の暗闇で自己責任の名において発見した真実にしか価値を見出さなかった。そんな博士だからこそ、世界的な危機に直面した私たちに、次のような警句を言い残すことが出来た。

 <賞賛を集めている技術的な進歩のすべて−それは、われわれの文明そのものなのだが−は、まるで、変質的な犯罪者の手中にある斧のようなものだ。>

 

 

 


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