トップページ
 古本ショッピング
 書評
 通信販売法に基づく表記
 お問合せ


 

 


日付:

2005/09/12

タイトル:
アッラーの花嫁たち
著者:
ユリヤ・ユージック (山咲 華・訳)
出版社:
WAVE出版
書評:

 

 とんでもない事実が勇敢な女性ジャーナリストの手でスッパ抜かれ、センセーションを巻き起こした。遣り切れない思いで兎も角読み終えたのだが、目的のために手段を選ばない最悪のケースが一ダースを下らない。

 「ノルド・オスト」の合言葉で文化宮殿を占拠したテロリストと特殊部隊が激突。ロシアの内政干渉に抗議したチェチェン人が1000人の観衆を人質にして蜂起、死傷者120余名という惨劇となり、2002年の初冬は血に染められた。

 事件後、現地の取材で明らかになったのは、アッラーの名で自爆した女シャヒードたちの意外な素顔。聖戦(ジハード)という大義名分は彼女たちとは一切、無関係。薬物による洗脳、人身売買等々、貧しいバーブ教徒の家族から幼い彼女たちを戦力として奪い取る、恐るべき犯罪組織があったのだ。リモコン操作による起爆装置に気づき現場を脱出。辛くも生還した少女の証言を通して始めて知り得た組織の実態である。

 歴史がこれ以上、同じ過ちを繰り返すようなら、それこそ言語道断。恐怖に怯える彼女たちの肉声に接した者なら、カミカゼ・ヒロイズムがテロの淵源のようには言えない筈なのだ。普段、取材に関して精力的な著者も、居た堪れなくなったとペンを擱く。しかし今や様々なメディアを通して世界各地に良心の嵐を呼び起こしている。

   「ノルド・オスト」=北の海。

   人気上昇中のミュージカルの題名。

  

 

 

 

 


全目録 海外文学 日本文学 芸術・デザイン 宗教・哲学・科学 思想・社会・歴史 政治・経済・法律 趣味・教養・娯楽 文庫・新書 リフォーム本 その他