政・官・財の癒着はもとより複雑怪奇だが、マスコミによる弊害も近年頓に目立って来た。骨抜きにされた報道は亡国の予兆か。本書は、ご存知・中丸薫の「闇の権力構造」シリーズに、「泥棒国家の完成」の著者が一枚加わって実現した、まことにタイムリーな企画物の第一弾。
ベンジャミン氏は古き良きアメリカの開拓者精神を地でゆく気鋭のジャーナリスト。「明治維新」を高く評価する親日家でもある。「西欧に最も近い極東の国・日本」の卓越した素地に予てより畏敬の念すら感じていた。片や、持ち前の外交手腕でトップ・レディにのし上り世界の首脳陣と本音で渉りあえる明治天皇の孫娘。若干、意見の食い違いもある二人だが、目差す方向は唯一つ、人類の未来である。
「笛吹けど踊らず」は、頑迷無秩序な政治以前の状態。しかし、簡単に踊り出すようでも困る。一国の運命は一国の元首の手の裡にある。その体制固めには必ず国民の各一票が関与していなければならない。ところが、民主主義の屋台骨が危ないらしい。当分、小泉マジックの左手から眼を離さない方がよさそうだ。
地球を蝕む諸悪の元凶を名指しで糾弾する以上、神懸りになるのもやむを得まい。そんな孤軍奮闘の中丸女史だが、今や、文明の功罪をデータ化し、アマゾンから生還した奇蹟の男がガードマンである。彼女にとって、この冒険家の行動原理はまさに鬼に金棒、−願わくば「日出る国・日本」の面目を賭けて世直し論を練りに練り、「平成維新」の旗を堂々と掲げて欲しいものだ。
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