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日付:

2004.9.17

タイトル:
極意学入門
著者:
高岡英夫
出版社:
BABジャパン
書評:

 もし、天魔の仕業かなにかで、二足歩行の足場を奪われ、凧のように空中に磔にされてしまったら、私達はどうすればよいのだろう。取り敢えず、宇宙空間の袖を引っ張り位置関係を確かめるしかない。その為には新しい言葉が必要だ。始めに言葉ありき、だから。

 センター&リヴァース ドット ベスト。・・・

これは高岡式「天の岩戸開き」の呪文である。こうして紐解かれた極意の書、もうれっきとした言霊学ではないか。世のトンデモ本のように、イカニモ風ナルホド学などと扱き下ろせる代物ではない。

 高岡氏の眼を篤とご覧頂きたい。まるでヨガの行者のようではないか。しかも、屈強のアスリートでもある。お望みとあらばいつでもオリンピック選手の胸のメダルが一遍に色褪せてしまうパワーをお目にかけよう。この本は、この人を見よ、で終わってしまう大方の類書とは異なり、この人を見よ、から始まる。

 だからこそ巻頭に宮本武蔵が登場するのだ。二刀流の奥義を、あの有名な自画像から読み取り、もののみごとに体現して見せる。この高岡マジック、テキストは純粋無雑、腕を通すとバリバリ音を立てる糊の効いたYシャツのようなものだ。

 懲りない面々が蒸し返す「気学」or「身体論」。それらとは頭ひとつ抜いたユニークな天才論でもある。イチローからモーツアルトまで宇宙の物差しで計り直された逸材が今様神話の神々と化す。元々、秘伝と言い、奥義と言い、酒の肴に語り合えるようなものではなかった。以心伝心の深い眠りから醒め、掌の海で涼感の帆を張るこの一冊、文句なしのカウンター・パンチである。

 

 

 


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