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日付:

2005/11/24

タイトル:
批評の生理
著者:
谷川俊太郎&大岡 信
出版社:
思潮社
書評:

 

 詩と批評は、概ね本体と影のようなものだが、頭の真上に詩の太陽がある谷川俊太郎には影というものがない。今回の対談によって明らかとなったのは、詩の生理として批評があるという事実であろう。切れ味の良い発言が自由奔放に飛び交い、詩人で批評家としても一流の大岡信がたじたじとなる場面が続出、批評の概念自体がひっくり返つてしまった感がある。

 「対話のあたらしいかたち」と編者が自負する本シリーズだが、元々、オイル・ショック後の景気後退を乗り切るための苦肉の策で、「省エネ対話」といった性質のものだったらしい。予算半減に伴い、発行回数や人件費を大幅に削減、当時、第一線で活躍中の二者に絞込み、登板を願って辛うじて実現した長期連載企画である。これにより7年は延命したに違いない雑誌は、その名も「ENERGY」。本書は同表題で単行本化した思潮社版の再刊である。

 一体、何がどう新しいのかを一言で要約すれば、感性と知性が、詩的認識の両側面として顕現したことであろう。単なる二項対立の概念規定に過ぎないのであれば、これ程の発見も、それに伴う深まりも期待出来なかった筈だ。主客の対話形式が次々と詩のヴェールを剥ぎ取ってゆく臨場感にはさすが本物ならではの味わいがある。

 

 

 

 

 


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