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日付:

2005/08/10

タイトル:
インド夜想曲
著者:

アントニオ・タブッキ 

出版社:
白水社
書評:

  スノッブの霧に紛れ込みウィツチのお仕着せにあたふたと寸法合わせをする。現状追認型の読者ならタブッキは悪趣味な作家と写るだろう。紀行文が下敷きになった分身譚はプロットの欠けたデジャヴェのパッチワークだ。

 旅には期待と不安はつきものだから、いつ醒めた狂気に襲われ、一本50ルピーのリキュールと同額の娼婦を抱えて不潔な安宿に転がり込まないとも限らない。エキゾチックな見聞記に、カルマ、アートマン、グノーシス流神秘主義の断片的記述を織り交ぜながら、主人公は自身の幻影を異郷の地に彷徨わす。

 −ベナレスからゴアまで、聖地巡礼の旅ではさらさらない。これは記憶の欠片に傷つき全身に毒の廻った不眠の夜のガイドブックだ。アンソロジーには気をつけて! タージマハールで出逢った謎の女流カメラマンに足を奪われ、彼女との仮初めの情事でエンドとなる。

 

 

 


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