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日付:

2005/08/25

タイトル:
自伝ノート
著者:
A.アインシュタイン
出版社:
東京図書
書評:

 

 宇宙が必然の名で開示されるまでは、決して生を諦めない。アインシュタインの生涯は徹頭徹尾、理論物理学者としてのそれであった。ひとは生まれたままでは仮死状態にある。この屈辱的な命題を自己の天才に託し、運命の謎解きゲームに専念する。20世紀の科学は彼を中心に動くことで、漸く現在のレベルに達したといわれる。

 生い立ちとか、生活記録とかは研究活動の副産物に過ぎないのだろう。或いは数式のエピソードとして排除されている。この小さな本は思考過程のエッセンスで埋め尽くされた宝石箱だ。

 偶然を認めたら科学とは言えない。だから量子論による自家撞着は墓穴を掘ることになる。科学は魔界をひらく鍵でもあったのだ。

 まさかと思われる向きもあろう。晩年の博士の信仰が数学的帰結であるとしたら。ところで、もし「統一場理論」が完成すれば、この世は神の恩寵で満たされる。この20世紀最大の予言は原爆の父と呼ばれた殉教者の悲願でもある。しかし、67歳の手記のどのページにも、有名な二乗式がストラドバリウスのトーンを下げたとは書かれていない。    

 

 

 

 


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