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日付:

2005/10/30

タイトル:
金子みすゞと夭折の詩人たち
著者:
詩と詩論研究会 編
出版社:
勉誠出版
書評:

 

 夭折を定型とした世界観というものがある。この世界がスポットを浴びる度に、「水子供養」のように思わず、瞑目合掌してしまう。今回の出版は、金子みすゞ・生誕100周年を記念して、ほぼ同世代で薄幸の運命に甘んじた詩人たちをも纏めて顕彰する厳粛な試みである。

 この瑞々しい墓に、人はどんな思いで献花するのだろうか。既に詩人・中也は押しも押されもせぬ古老(?)格として祀られている。文学的事件が凝縮して刻印された短い生涯を思う時、この詩の妖精たちに、恩寵のような畏敬の念さえ感じてしまう。何故なら、この人生という仮の宿の大方は、ずしりと重い「業」の荷解きをするには小さ過ぎ、若干20歳のページにはまだ特記すべき何ものもないからだ。

 有名・無名を分かつのも運命の悪戯なら、天の配剤を目溢しするのも、運命の所為、しかも、無垢の魂がおぞましい病に侵されて苦しむのも天の仕業とあれば、せめて、一瞬の裡に生命を燃焼させる熾烈な創作活動だけは、その人のものとして永久に価値あらしめたいものである。

 

 

 

 


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