パスカルは宇宙に就いての無限の観念に囚われて思索に沈潜し、戦慄の書「パンセ」一巻を著した。しかし、どのような賢人の脳裡に閃いた叡智であれ、万能の神の1%にも満たない想像力の所産でしかないとしたら? 誰もが新たな戦慄を覚えざるを得まい。学問と名のつく袋小路で地団太を踏む敗北感はなんとも惨めなものだが、膨大な文化遺産の未解決の課題に取り組み、自然の懐に科学のメスを入れ、ひとは何度<ユリイカ!>と狂喜したかわからない。だが、煎じ詰めると観察者自身の力量の問題でしかなかった。一体、何をもって真実と称するのか、どうすればその真実に到達することが出来るのか。―この古くて新しい、些か苦行僧めいた難問と向き合いながら本書を紐解くとき、ドグマに凝り固まった特定の教団からは得られない爽やかな印象に誰もが心を洗われることだろう。史上稀に見る傑出したヒーラーの神秘的な体験を通して、もう一つの人生の扉が開かれ、本書のタイトル「キリスト意識」が母なる宇宙の深淵から浮かび上がる真実への標識であることを知って自我意識の硬い殻を破ることが出来る。<ユリイカ>は神の眼の中の事件にほかならない。
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