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日付:

2006/05/20

タイトル:
クローン人間にYes!
著者:

クロード・ポリロン・ラエル

出版社:

無限堂

書評:

  科学と宗教、この二項対立が克服されて科学教となる。それは同時に空想家ラエルが預言者ラエルとなる瞬間だ。彼は84カ国・5万5千人のメンバーで構成されるラエリアン・ムーブメントの精神的指導者であり、現在、異星人に関する団体では最もラジカルな科学万能主義者でもある。来世信仰や偶像崇拝によるカルト教団の持つ胡散臭さは微塵もない。彼によれば、例えば宗教の永遠性は絵に描いた餅ではなく、時間の積として現前する。しかも、コンピューター化された世界で、ホモサピエンスの「種」はクローン技術により無限に繁殖することになるのだ。即ち、人類にとってのユートピアとはプログラマーである異星人と同等のレベルになった状態のことを指す。宇宙自体が科学の壮大な実験室であり、人類の平和も進歩も科学的事実としてのみ証明される。彼が幼児のような目を輝かせて語るとき、この言説には、一点の濁りもない。祖国フランスの偽善性を、パスカルもどきの秀抜な文体で厳しく指弾したかっての若きジャーナリストは、再び、「クローン人間にYes!」と声高に叫ぶ。

  他の惑星に生命が存在するという学説を立てたために、異端の烙印を押され、火焙りにされたジョルダノ・ブルーノ。本書はこの殉教者の霊に捧げられている。死後4百年たった今、DNAの構造の発見は、この偉大な思想家の真実性を証明すると同時に、旧秩序の迷妄を打破するものではあるのだが、それだけ一層、抵抗勢力の壁は厚く硬い。だが、それ以上に、彼の意志表明は果敢、かつ強固である。「序文」には自信に満ちた著者の使命感が漲っている。

  <1974年、私は異星人エロヒムとの接触のことを書いた「真実の書」  を 世に出しました。エロヒムは実験室で私たちを科学的に創造しましたが、私たちの祖先は、それを理解するには原始的すぎて、科学には無知でしたので、彼らのことを「神」や「神々」と呼んでいました。本を出した当時、「UFO現象」に対する大衆の熱意のお陰で、私の本と、世界中での私の講演は成功を収めました。
 しかし私が、もうすぐクローニングのお陰で同じことが可能になり、永遠に生きることができるようになると説明しても、多くの人は腹を抱えてバカのように笑っていました。彼らは鈍すぎて未来をかいま見ることもできず、自分たちのパラダイムが死にかけていることも分からなかったのです。>

  半ば誇らしげに語りながら、本書を書き表すこととなった直接の動機に就いては、唯、一言、こう言えば足りた。

 < あれから27年の歳月が経ち、ドリーのような羊が何匹か出現したあとで、彼らは笑うことをやめ、私の宣言したことが現実となったことにギョッとしています。>

  本書は、旧態依然の歪んだ倫理感を乗り越えるべく示された、全く新しい航海図である。

 

 

 


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