親日家のアインシュタインが天皇制擁護の思想家であったことは余り知られていない。世界平和のモデルが理論物理学の要諦とも言える統一理論の完成と無縁でないとすれば、単なる訪日向けの外交辞令として見過ごすわけにはいかない。それにしても量子力学の登場による昨今の科学最前線の混迷ぶりは一体何を意味しているのだろうか。その名目が何であれ、ただ謎を深めるばかりなら科学とは呼べまい。自然の神秘は人類との意識的な関りを通して偶然性が排除されることで畏敬の念を抱かせる。もともと法則とは事実の重みを伝える目に見えない秩序のことであった。天皇即位の象徴的な儀式に森羅万象の隠された意思が働いているとは俄かには信じがたいとしても、勇み足の仮説で非凡な物理学者がそんじょそこらの神秘家の仲間入りをするとは思えない。ところで、誰がなんと言おうとも、かの碩学ゼカリア・シッチンを嚆矢とする超古代考古学は20世紀の金字塔だが、正真正銘の科学の名のもとに大和朝廷のマニフェストである<八紘一宇>の荘重な仮説を読み解くことが出来れば未来は二度訪れることになるのかも知れない。
美醜善悪に関する一切の固定観念をご破算にして、ただそのように描かれたものとしてピカソの絵をながめる。今では、ピカソ始め特異な形象世界が私たちのおざなりな生活空間に生彩を与える現実の一部となったことを誰もが知っている。何やかやと目くじらを立ててもいつの間にか血肉化されて私たちの心を豊かにするもの、それが文化であろう。トンデモ屋も公式主義者も単なる習慣上の仕分けでしかなく、迷子には必ず名札が付いているものなのだ。何を隠そう本書の著者も理系出身の実証主義者、「3.5次元」のキーワードを芯とする論理の糸玉を転がしながら実人生の締めくくりをあえて古神道の世界に求めた。怪物退治の英雄よろしく、まだ想像の域を出ない龍・ドラゴン・レプティアン・八岐大蛇、等のルーツを文献踏破し、それらが世界最古の王族(我国の皇室の祖先)のバリエーションであることを3.5次元世界で明らかにする。どの学会でも認知されていない<五色人>の伝説上の表象を実体験で纏め上げる手法は、アートの世界で言えば半具象絵画風だが、本書は文明に汚染されず太古そのままの生活を続ける民族を生き証人とした説得力溢れるリポートともなっている。各国のヒーラーとのシンパシーはもとより、自身の霊性の深化により、ユニークな世界観がより多くの人のものとなるよう今後の展開が待たれる。神の隣に座るということは、ヴィジュアルでアレゴリックな世界を唯、そのようなものとして思惟する者にのみ許された特権なのかもしれない。
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