トップページ
 古本ショッピング
 書評
 通信販売法に基づく表記
 お問合せ


 

 


日付:

2004.9.28

タイトル:
龍宮
著者:
川上弘美
出版社:
文芸春秋
書評:

 乾いた土の上では人もまた乾く。人も河童に似て水陸両棲動物である。河童の頭の皿に当たる部分が人の想像力というものだろう。川上さんの流麗なタッチが妖艶な幻術と化す時、その文法は正しい。だから不思議が存在してしまうのだ。

 「龍宮」が母型の海産物のヴァリエーション、文法の網に掛けられ陸に引き上げられた主人公達。それにしても、異類・同類の混在等という些かアナーキーで奇妙な観念は何処から来るのか。どろどろに掻き回された鍋の底から、なにやら異形の生き物の気配が創出される。この海と山の交配物のコレクション。やがて、女の蛸壺から這い出し海馬となって海へ還る。

 どうやら、専業主婦の厨房の夢とはこういうものらしい。高雅なフランス風・レシピである。

 

 

 


全目録 海外文学 日本文学 芸術・デザイン 宗教・哲学・科学 思想・社会・歴史 政治・経済・法律 趣味・教養・娯楽 文庫・新書 リフォーム本 その他