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日付:

2004.11.27 

タイトル:
すいかの匂い
著者:
江国香織
出版社:
新潮社
書評:

 

 山手感情線めぐりとでも言っておこう。見切り発車に駆け込み乗車、相も変らぬ風景に感性の触手を働かせ表現の技を競い、デテールに才能を発揮する。困ったときのホラー頼みは、ひょっとして、醒めた心細さからのマゾ的な幼時退行現象やも知れぬ。

 これは、今をときめく若手女流作家、江国川上綿矢の三人姉妹が或るレベルで一致する常套手段である。江国には詩才もあるらしく、確かにどの作品世界も際立って瑞々しい。しかも、短篇の名手としては頭一つ抜いている。

 ここで、女性特有の感性のレールをトヤカク言う積りはない。問題は方法論の無さだろう。小説を小説体と決め込み、体に拠って言動ありとすればこのような蛸壺小説になって当然なのだ。もっと逸脱して欲しい。おっと、脱線ではない、乗り換えの積りで言ったまでです。

 

 

 

 


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