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日付:

2006/05/03

タイトル:
ウェブ進化論
著者:

梅田望夫

出版社:

筑摩書房

書評:
 

 ネットの「こちら側」から「あちら側」への価値転換で世の中が一変すると言う。そんな自説を裏付けるかのように、グーグルの驚異的な成長の秘密が明かされていく。永らくアメリカに住み、シリコンバレーの邦人移住人口1万人を構想中の著者は、ITの新しい波をキャッチして本書を著した。

 マイクロソフト社の買収に応じなかったグーグル創始者たち。彼らには 「コンピューター・システムそのものを設計する」と言う途轍もない夢があった。バーチャル経済圏に於ける富の分配メカニズムの再構築である。「ムーアの法則」により、放っておいても、そうならざるを得ない時代の趨勢を、彼らはチープ革命とも呼んだ。

 今や、猫も杓子もブログの、総表現社会。情報の玉石混交を瞬時に振分ける、検索エンジンの自動秩序化が急務となった。しかし、現状レベルの進化であれば、「情報発電所」からリアルタイムで、質の高い情報がきめ細かに供給される日も、そう遠くなさそうだ。

 この「資本主義の落穂ひろい」、少子高齢化社会とは全く別様のシナリオだが、もし、政治的コンスピラシーの道具と成り下がるようなら、恐るべき楽天主義と言わざるを得ない。実労働は悉くロボット化し、生活原資を奪われた失業者は国の防衛戦力として組み込まれる。或いは、バーチャルな夢に括られ、ほんの一握りのリアル社会の勝者の言いなりになるやも知れぬ。

 ハイテクによる理想社会も「世界統一政府」も、掲げる理念としては似たようなもの、悪夢の始まりでなければ良いのだが・・・。

 

 

 


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