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日付:

2010/11/21

タイトル:
断 二十一世紀へ日本を導く政治家
著者:

成島忠昭/立法研究会(協力)

出版社:

新森書房

書評:

 

 「霞ヶ関のギネスブック」と謳われた入澤肇は大の政策通。その30年のキャリアを生かして参議院入り、政界のご意見番として程なく衆参両議院を席捲。与野党対決で権謀術数の渦巻く国会審議では正論で体当たり、歯に衣を着せぬ論調と用意周到な提案で質疑応答を盛り上げ、転寝を決め込んだ議員をシャンとさせ、マンネリムードを一掃する。終始、妥協を許さぬシビアな代表発言は国政の兄貴分としての参議院の貫禄を示して余りある。濃密な学識経験に裏付けられたシャープな切り口からは次々とキーワードも生まれている。「傾斜配分」「選択と集中」「分野調整」「地産地消」等など・・・。法制化まであと一歩の地点まで単独走破、その圧倒的な存在感で、今度は「永田町のギネスブック」と一目置かれる。

 知る人ぞ知る、農林水産省時代には大衆社会のニーズを掘り起こす<外食総研>の設立で、不当に軽視されていたサービス業に貢献、外食産業の救世主と呼ばれた。今やJFの雇用創出力は業界一、グルメ業界は押しも押されもせぬリーディング産業となった。主張の骨子はこの上もなく明快で、自家製キーワードを自在に駆使して世直しに望み、「吉野屋」再建を皮切りに、あの手この手の国策を民意路線にもののみごとに結実させた。この胸の透く頭のさえと度胸こそ小泉政権を内側から揺さ振り、竹中大臣の「骨太の方針」の自家撞着的な結末を逸早く見抜いていた当のものである。

 法律は時と場合により筏となり戦艦となる。あくまでも国会の本義に基づき、先ず政界自身、自浄作用で灰汁を流し、<権利・義務>の規定に則して法のスリム化を進めなければならない。大衆へのデマゴーグで一頃槍玉にあげられた官僚主義だが、悪いのは制度ではなく官僚である。官庁内人材の「文理構造」を見直し雁字搦めの仕組みに新風を吹き込む。健全な人事で立法機関としての法治精神を回復して公務員を活性化しなければならない。著者は、21世紀へ日本を導く政治家として、政界にこの人ありと太鼓判を押す。表題の「断」はグランドデザインを欠いた小手先だけの似非改革派を「断つ」の意である。平成の龍馬かくあるべし。

 

 

 


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